コロナウイルスの影響で生活や働き方に大きな変化が起こる中、自身のキャリアを見直す方が増えています。
大きな変化が起きている時代だからこそ、目先だけでなく長期的なキャリアについて深く考える必要があります。
将来のキャリアについて十分に考えずに転職をしてしまうと、現状を変えるだけの場当たり的な転職になってしまいます。
その場合、転職後に「思っていたのと違う」と感じてしまい、短期間で再び転職するリスクもあります。
今回は、自身にとってベストなキャリアを考えるために役立つ「キャリア戦略設計」の方法をお伝えします。
目次
やりたい仕事をやる?
最近は「やりたい仕事をやる」という言葉をよく耳にするようになりました。
確かに、やりたい仕事をやって生きるのは素晴らしいことです。
もしすでにやりたい仕事がはっきり見えている人は、ぜひそれをやり切ってください!
しかし、多くの人はその考えに従おうとすると壁にぶつかります。
その壁とは、
という壁です。
実際は「これがやりたい!」と明確にやりたい仕事が見えている人はほんの一握りです。
そうではない大半の人が「生涯通じてやりたいと思える仕事を見つけないと。。」などと考えても簡単に見つけることはできません。
では、多くの人がどんなことを考えているかというと、以下のようなことではないでしょうか?
・(できるだけ)高い給料をもらいたい
・(できるだけ)良いポジションにいたい
このように、明確にこの仕事がしたいという「To do」を持っているわけではなく、こんな状態で仕事をしていたいという「To be」で考えている人が大半です。
無理に「To do」がなければいけないと考える必要はありません。
大半の人は、この程度の「To be」で考えているし、それで一向に構わないと認識しましょう。
キャリアの3つの軸
では、何を「キャリアの軸」にしていけば良いかというと、それは以下の3つです。
それぞれについて解説しますが、この記事では特に一つ目のValue(市場価値)について重点的にお話しします。
Value(市場価値)
Value(市場価値)を高める必要性
市場価値とは一言でいうと、「世の中からみたその人の価値」です。
ポイントは今勤めている会社内ではなく、「世の中全体からみた」と言うことです。
では、なぜこの市場価値を高める必要があるのでしょうか。
それは、先程あげた以下の思いを、市場価値をあげることで満たせるからです。
・(できるだけ)高い給料をもらいたい
・(できるだけ)良いポジションにいたい
市場価値が高いということは、「世の中から求められる」ということです。
つまり、市場価値が高い人材には、
・高い給料が与えられる
・良いポジションが与えられる
ということになります。
「これだ!」という絶対的なやりたい仕事はなかったとしても、その時に少なからず興味のある仕事はみなさんもあるはずです。
でも、市場価値が高くなければ、その興味のある仕事につくのは難しいです。
多くの人が求めているような仕事をするには、市場価値を高めるのが一番といえます。
Value(市場価値)は何で測られるか
では次に、その市場価値とは何で測られるのかをお話しします。
ずばり、市場価値とは以下の掛け算で考えられます。
本人の能力
「本人の能力」は、以下の足し算で考えられます。
業界/会社の生産性+成長性
「業界/会社の生産性」は、簡単にはその業界・会社の「平均給与」で図ることができます。
よく言われる例でいうと、「金融業界」などは「平均給与」が高く「業界の生産性」が高いと言えます。
「飲食業界」などは「平均給与」が低く「業界の生産性」が低いと言えます。
「業界/会社の成長性」はその業界・会社がどのくらい伸びているかということです。
例えば、「IT業界」は成長し続けてます。
一方で、「製造業界」などは衰退傾向にあります。
ここでの話を簡単にまとめてしまうと、能力が高く、人気の業界・会社にいる人は市場価値が高いということです。
Value(市場価値)を高めるキャリア選択
前述の通り、多くの人が求める仕事をするには、市場価値を高めるのが一番です。
よって、市場価値が高まるようなキャリアを選択すべきといえます。
特に20代〜30代においては、以下の戦略でキャリアを選択すれば、市場価値を高めることができます。
②その専門性を強みとして、良質な経験を積んでいく
例えば「企画」を専門性=職種の軸に定めた場合には、まずは、それを学んで専門性が磨ける会社(コンサルティングなど)または部署(事業企画など)を選択します。
その後、その専門性を強みとして、「リーダー経験」や「規模の大きなプロジェクトやユニークなプロジェクト経験」が積める会社または部署を選択します。
こうすることで、自身の市場価値をどんどん高めていけます。
専門性を高める必要性
専門性を定める必要性は近年さらに高まっています。
終身雇用が崩壊し、コロナウイルスの影響で働き方が変わる中、企業の雇用形態に変化が起きています。
具体的には、従来の日本的な「メンバーシップ型雇用」から、欧米的な「ジョブ型雇用」へのシフトが起こっています。
メンバーシップ型雇用・ジョブ型雇用とは、それぞれ以下の雇用形態を指します。
・ジョブ型雇用:「仕事に人がつく」
メンバーシップ型雇用は、新卒一括採用のように、メンバーを集めてから、その人たちの能力や意欲によって仕事を分担します。
それに対してジョブ型雇用では、まずは組織の仕事全体をそれぞれの「ジョブ」に分解します。
その後、それぞれの「ジョブ」に必要な能力をもった人を雇用します。
ジョブ型雇用は、欧米諸国では一般的で、雇用契約を結ぶ時点でどの職務につくかが決まっています。
逆に本人の同意なく、関係ない職務につくことはありません。
この傾向は、今後も進み続けると考えられます。
特に、一つの会社に依存せずに、「自分の力で生きていきたい」と考える方にとって、専門性=職種の軸を定めることが必要不可欠です。
可能であれば、20代のうちに自分の専門性=職種の軸を定めて、それを磨いていくのが望ましいです。
Will(意思)
確かに自身の市場価値を上がるキャリアを選択すべきなのですが、その際には、当然その人自身の意思も重要です。
自分がやる気を持てない、熱中できない仕事であれば、成果をあげることができないので、結果的に自身の市場価値を下げることにもなってしまいます。
・逆にやりたくないことは何か
などを考え、自分の性質や価値観にあったキャリアを選択しましょう。
また、
・3年後の理想の姿
・10年後の理想の姿
などを描くことで、そこに到達するために必要なスキルや経験を逆算的に考えられます。
Capability(現在の能力)
キャリアを選択するときには、「行くべき(Value)」・「行きたい(Will)」の他に、「行ける(Capability)」企業・部署である必要があります。
この「Capability」(現在の能力)によって、行くべき・行きたいところにキャップ(=上限)がかかると捉えてください。
そのため、現在の能力を伸ばすことで、より価値の高い・より行きたいところを選択できるようになります。
能力は大きく、
・それぞれの業界・仕事に特化した「専門能力」
に分けられます。
専門能力を高めることはもちろん重要なのですが、さらに重要なのは思考力・伝える力、マインドセットなどの「ビジネス基礎能力」をしっかりと身につけることです。
これは、仕事の土台となるスキルです。
これがないと、いくら専門知識を持っていようが、ビジネスの世界で活躍できません。
逆に、これを高いレベルで身につけられると、どの業界・仕事でも活躍する土台ができます。
また、スキルアップはキャリアアップにも欠かせないものです。
キャリアアップするためには、その先で求められる能力と現在の能力のギャップを埋める必要があります。
スキルアップすることでそのギャップを埋めることができます。
よって、「キャリアアップのために、スキルアップに取り組む」ことは非常に有効といえます。
キャリア戦略を作るために
3つの軸についてお話ししましたが、これらはどれも欠かすことができません。
この3つの軸の交差点がその人の理想のキャリアといえます。
これらについてしっかりと考え、自身の強固なキャリア戦略を持つことで、後悔なく自信を持ってキャリアを進めることができます。
キャリア戦略を作る上では、自分一人ではなく、キャリアや能力開発に精通している方と一緒に考えるのがおすすめです。
何もないところから自分だけで考えようとしても、何を考えたら良いかわからなくなります。
「何を・どのような順序で考えていけばいいのか」という軸が必要になります。
それが分かっている方と一緒に考えることで、しっかりとキャリア設計を進めることができます。
さらに、相手に伝えようと言葉に出してアウトプットすることで、自分の価値観・考えがより強固になっていきます。
そのため、人生において重要な役割を占めるキャリアについては、詳しい方と一緒に、然るべき方法で、時間をかけて考えることをお勧めします。
おわりに
自身のキャリア戦略を一度しっかりと構築したいという方は、ぜひ当社サービスのEx-Careerをご活用ください。
Ex-Careerサービスサイト:https://exwork.jp/ex-career
ここでは、体系的な理論をもとにその人にとって理想のキャリア戦略をコーチと一緒に構築します。
さらに、キャリアアップを遂げるために、必要なスキルアップもできます。
無料のキャリア相談も承ってますので、無料個別相談予約ページよりお申し込みください。
参考文献・サイト
①「このまま今の会社にいていいのか?と一度でも思ったら読む 転職の思考法」
北野 唯我 著
出版社 : ダイヤモンド社
発売日 : 2018/6/21
②「働き方の哲学 360度の視点で仕事を考える」
村山 昇 著
出版社 : ディスカヴァー・トゥエンティワン
発売日 : 2018/3/25
③エンゲージ採用ガイド:「今さら聞けない「ジョブ型雇用」。注目の背景やメリットとは!?」