ビジネスにおいて必須の思考法、「ロジカルシンキング」。
今回は、ロジカルシンキングのために欠かせないツールの一つである、「ロジックツリー」について解説します。
目次
ロジックツリーとは?
ロジックツリーとは、問題解決を行うために思考を構造的に整理するツールです。
論理を枝分かれしてツリー状に展開させていくため、名前の通り、論理的なツリー、ロジックツリーと呼びます。
図のように、全体を部分へと分解することでロジックツリーが描かれます。
大きな問題(=全体)も、ロジックツリーを用いて小さな問題(=部分)に分解して考えることで、原因の特定や解決策の糸口を見つけることができるようになります。
ロジックツリーとピラミッドストラクチャーの違い
ロジックツリーと混同されがちなツールに、「ピラミッドストラクチャー」があります。
ロジックツリーとピラミッドストラクチャーの2つを並べて比較します。
両者を比較すると、ツリー型という形状は似ていますが、構成されている各要素が異なることが分かります。
これは、両者で使用する目的・用途が異なるためです。
・ピラミッドストラクチャー:主張を分かりやすく構造的に伝えるためのツール
つまり、ロジックツリーはそれを使って「考える」ことが目的であり、ピラミッドストラクチャーはそれを使って「伝える」ことが目的となります。
この二つのツールは共通点も多いのですが、その目的の違いによってそれぞれ特徴があります。
ピラミッドストラクチャーについては、別の記事で詳しく解説します。
ロジックツリーで出来ること
ロジックツリーの目的は、それを使って「考えること」とお伝えしました。
では、ロジックツリーを用いて考えると、具体的に何ができるのでしょうか。
ロジックツリーで出来ることとしては、次の3つが挙げられます。
② 問題の原因を特定できる
③ 問題の解決策を考えられる
問題の全体像を把握できる
ロジックツリーを作成することで、問題の全体像を視覚的・構造的に把握することができます。
これにより、各要素を検討する際、
を前提として把握した上で分析を進めることができます。
チームで検討を行う際も、議論がとっ散らかったりバラバラと思いつきで検討することがなくなります。
さらに、全体が俯瞰できるようになることで、各要素の重要度の判断ができるようになります。
ロジックツリーの分岐は、全てが同じ重要度ではありません。
各要素の占めるウエイトを比較検討することで、重要な幹はどこなのか、優先して解決すべき問題はどれなのかを見極められるようになります。
問題の原因を特定できる
大きな問題に対しても、ロジックツリーで原因の候補を分解して考えることで、原因の特定が可能となります。
たとえば、「商品Aの売上が低迷している原因は?」「営業マンXの新規顧客数が減っている原因は?」といった課題に対しても、ロジックツリーを用いて原因追求を行うことで、問題の原因を特定することが容易になります。
こちらは、後ほど例題として取り扱います。
問題の解決策を立案できる
ロジックツリーでは、問題の原因を特定するのみならず、解決策を考える場合にも活用できます。
ロジックツリーで特定した原因に対し、さらにロジックツリーを用いて「それを解決するにはどうすれば良いのか?」と分解することで、解決策候補を洗い出すことができます。
洗い出した解決策候補を比較検討し、実現可能なアクションプランへと落とし込んでいきます。
ロジックツリーの種類
ロジックツリーは、大きく3種類に分類されます。
What型(要素分解型)
全体から徐々に具体的な細かい要素に分解していくロジックツリーです。
What型、あるいは要素分解型と呼ばれます。
頂点には全体を示す名詞が置かれます。
次に、「What?何?」という問いかけによって、全体を構成している要素に分解していきます。
Why型(=根拠深掘り型/原因追求型)
結論の根拠を深堀して考えたり、結果を引き起こした原因を追求するために用いるロジックツリーです。
Why型、あるいは根拠深掘り型/原因追求型と呼ばれます。
頂点には結論や結果がきます。
次に、「Why?なぜ?」を繰り返すことによって、根拠の深掘り・原因の追求を行います。
How型(=解決策/手段立案型)
問題・目的の解決策・手段によって分解し、具体的な解決策や手段を立案するために用いるロジックツリーです。
How型、あるいは解決策/手段立案型と呼ばれます。
頂点には課題や目的が来ます。
次に、その課題を解消するための解決策や目的を達成するための手段を「How?どのように?」という問いを繰り返すことで展開していきます。
ロジックツリーの例
ここからは実際に例題を用いて、What型/Why型/How型でそれぞれのロジックツリーを作成します。
ぜひ実際に手を動かしながら一緒に考えてみてください。
What型ロジックツリーの例
「カフェXの利益」の構成要素をWhat型ツリーで分解する
まず頂点に、全体を表すカフェXの「利益」を置き、「What?何?」で構成要素を分解します。
すると、頂点からそれぞれ、次のような四則演算に分解することができます。
・売上 = 客数×客単価
・コスト = 固定費+変動費
これらをロジックツリーで表すと、以下のようになります。
「利益とは何?」「売上とは何?」というようにWhatの連続で展開しているといえます。
Why型ロジックツリーの例
「ある営業マンの新規顧客数が減っている」をWhy型ツリーで原因追求する
頂点には結果、つまりある営業マンの「新規顧客数が減っている」を置きます。
ここから、「Why?なぜ?」で、分解します。
新規顧客数が減っている原因は、以下の2パターンが考えられます。
・成約率が落ちている
次に、それぞれを原因についてさらに深掘りをします。
アポ数が落ちているのは、「紹介数が落ちているから」、あるいは「架電・メール数が落ちているから」の2パターンが考えられます。
成約率が落ちているのは、「商品の魅力が落ちているから」、あるいは「営業マンの質が落ちているから」の2パターンが考えられます。
すると、このようなWhy型のロジックツリーが作成できます。
ここから実際には、分解した各項目を既存のデータと照らし合わせ、原因の追求を行っていきます。
How型ロジックツリーの例
「痩せるための方法」をHow型ツリーで立案する
頂点には課題、つまり「痩せるには?」を置きます。
ここから、「How?どのように?」によって手段を分解します。
体重を減らすためには、以下の2パターンの方法があります。
・消費カロリーを増やす
次に、それぞれを達成するための手段を考えます。
摂取カロリーを減らすには、「総摂取カロリーを減らす」、あるいは「カロリー吸収率を下げる」方法が考えられます。
消費カロリーを増やすには、「基礎代謝を上げる」、あるいは「運動量を増やす」方法が考えられます。
すると、今度は以下のようなHow型のロジックツリーが描けます。
実際のビジネスにおいては、ここからさらに分解して具体的なアクションプランに落とし込んでいきます。
ロジックツリー作成のポイント
最後に、ロジックツリー作成のポイントをお伝えします。
ロジックツリーを作成する上では、「縦の関係」「横の関係」それぞれに気をつけるべきポイントがあります。
縦の関係
ロジックツリーの縦の関係は、「問いと答え」の関係になっています。
具体的には、各要素の「What?」「Why?」「How?」の答えが一つ下の要素になっているということです。
先ほどの例を用いて実際に関係性を確認しましょう。
売上とは?(What?) → 客数×客単価
コストとは?(What?) → 固定費+変動費
アポ数が落ちているのはなぜ?(Why?) → 紹介数が落ちているから/架電・メール数が落ちているから
成約率が落ちているのはなぜ?(Why?) → 商品の魅力が落ちているから/営業マンの質が落ちているから
摂取カロリーを減らすには?(How?) → 総摂取カロリーを減らす/カロリー吸収率を下げる
消費カロリーを増やすには?(How?) → 基礎代謝を上げる/運動量を増やす
このように、問いと答えの関係を意識して縦に展開していくことで、論理の飛びを回避することができます。
ロジックツリーを作った後は、各要素の縦の関係が問いと答えの関係になっているかを確認しましょう。
横の関係
ロジックツリーの横の関係は「MECEの関係」です。
MECEとは「モレなくダブりなく」を意味します。
MICEについては、詳しくはこちらの記事で解説しています。
全ての横の関係がMECEになっていれば、問題の全体像をモレなくダブりなく網羅できているといえます。
終わりに
ここまでで、ロジックツリーの概念、ピラミッドストラクチャーとの違い、ロジックツリーで出来ることとロジックツリーの種類・具体例を解説してきました。
最後に、ロジックツリーはあくまでロジカルシンキングや問題解決のための「ツール」です。
まずはツールの使い方を身に付けた上で、ロジカルシンキングや問題解決スキルを習得しましょう。
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